いすゞ エルフ vs 日野 デュトロ:2t小型トラックのリセール価値を徹底比較
公開日: 2026-02-19
この記事の重要ポイント
- リセール王者の座: いすゞ エルフが国内外の圧倒的需要でわずかにリード。
- 環境性能の評価: 日野 デュトロの排ガス技術(DPF/SCR)が都市部での強みに。
- 海外輸出の適性: エンジン型式による「輸出バイヤーの指名買い」の有無。
- 2026年最新相場: 歴史的な円安と新車供給不足がもたらす異常高値の背景。
運送会社経営者や個人オーナーにとって、2tトラック選びは「仕事の相棒」を選ぶだけでなく、「将来の換金資産」を選ぶことと同義です。中でも、日本の中古市場を二分する「いすゞ エルフ」と「日野 デュトロ」は、どちらを選んでも正解と言われますが、こと「売却時の手残り」に注目すると、そこにはプロにしか見えない明確な差が存在します。
私はこれまで15年以上、数えきれない量のエルフとデュトロを査定してきましたが、2026年という歴史的な転換点において、両者のリセールバリューはかつてないほど「輸出市場」と「環境規制」の影響を強く受けています。
目次
1. 2tトラック2強の現状と2026年市場背景
2026年現在、中古トラック市場は歴史的な高騰を続けています。半導体不足から始まった新車不足は、架装(ボディ装架)メーカーの人手不足により常態化しており、即納可能な「高年式中古車」は、ときに新車価格と同等、あるいはそれ以上で取引されることも珍しくありません。
このバブルとも言える状況下で、リセールバリュー(再販価値)の計算を誤ると、数年後の代替わり時に数百万円の機会損失を被ることになります。特に小型トラックは、ラストワンマイル需要の増大により、市場の血流そのもの。エルフとデュトロ、この2台の資産価値の推移を追うことは、ビジネスの将来設計において必須事項です。
2. いすゞ エルフ:なぜ国内外で「最強のリセール」を誇るのか
「エルフを選んでおけば売るときに困らない」——これは運送業界の定説ですが、2026年現在、その神話はさらに強固になっています。エルフのリセールバリューが高い最大の理由は、そのエンジンとシャシーの「世界的な汎用性」にあります。
① 海外輸出の圧倒的シェア
エルフ(海外名:Nシリーズ)は、アジア、アフリカ、北米など世界100カ国以上で展開されており、どこに行っても「部品がある」「直せる」という安心感があります。これが日本での中古査定時、国内需要が落ち着いていても、輸出バイヤーがドル背景の高値で買い叩く「底値の強さ」に直結します。
② 4JZ1エンジンの信頼性
現行の4JZ1エンジンは、高い燃費性能とDPF(排ガス黒煙除去装置)のトラブルの少なさで評価されています。査定現場でも、「エルフ=大きな故障が少ない」というイメージはプラスに働きます。特にアイドリング時のDPF再生間隔が安定している個体は、管理状態の良さとして加点対象となります。
💡 査定士の目
「スムーサーEx(セミオートマ)」搭載車も普及していますが、依然として輸出市場では「MT(マニュアル)」が根強い人気。もしあなたのエルフがMT車なら、海外需要を直接叩ける業者を選ぶだけで、査定額が20万円以上変わることがあります。
3. 日野 デュトロ:先進の環境性能と「都市型リセール」の強み
エルフが「質実剛健な輸出王者」なら、デュトロは「洗練された都市のエース」です。近年、環境規制(ポスト・ポスト新長期規制等)が厳しくなる中、日野が他社に先駆けて磨いてきた環境対応技術は、都市部の国内需要において高いバリューを生み出しています。
① ドライバー第一主義の内装と操作性
デュトロはキャビン内の死角が少なく、操作性が良いため、「ドライバーを採用しやすい(負担が少ない)」車として、人手不足に悩む国内物流企業に絶大な人気があります。中古市場においても、高年式のデュトロは奪い合いの状況です。
② ハイブリットモデルの存在感
現在、脱炭素経営(ESG投資)を求められる大手企業の案件では、エコ車両の使用が条件になることも増えています。デュトロのハイブリッドモデルは、こうした特定ニーズにおいて、中古でも指名買いされる「独自のリセール」を形成しています。
4. 決定的な差:上物(架装)と輸出バイヤーの心理
シャシーがエルフかデュトロか、という議論と同じくらい重要なのが「何が載っているか」です。実は、エルフとデュトロでは、特定の上物に対する「噛み合わせ」の評価が異なります。
| 架装の種類 | エルフの傾向 | デュトロの傾向 |
|---|---|---|
| 平ボディ | 輸出人気No.1。MTなら即現金化可能。 | 国内の多用途需要。ワイド幅が高評価。 |
| ダンプ | PTOの信頼性が高く、土木。建設で不動。 | 燃費の良さと小回りで都市部工事に強い。 |
| 冷蔵・冷凍車 | オルタネーター強化モデルが好まれる。 | ハイブリッド等、深夜・住宅街配送に強み。 |
5. リセール価値を最大化する「特定整備記録簿」の運用
車種選びが終わったら、次は「どう維持するか」です。2026年の査定現場で、車種以上に価格を左右するのが「デジタル整備記録」や「特定整備の実施記録」の有無です。
特にアドブルー(SCR)やDPFといった複雑な制御を要する現代のトラックは、どのようなケミカル(オイルや添加剤)を使い、どのタイミングでフィルター洗浄を行ったかが、エンジンの「残り寿命」の証明になります。この記録がないと、査定士は「将来的な修理リスク」として一律で10〜20万円のマイナス提示をせざるを得ません。
6. 結論:あなたの用途なら、どちらが「お得」に売れるか?
結論を言えば、「走行距離が伸びがちで、10年・15万km以上の長期保有を前提とするなら、海外輸出に強い【いすゞ エルフ】」が資産価値を残しやすいでしょう。
一方で、「3〜5年の短サイクルで乗り換え、都市部の配送やドライバー定着を重視するなら、国内中古市場で引きの強い【日野 デュトロ】」に軍配が上がります。
どちらの車両であっても、2026年の異常な中古ブームを活かすには、複数の「輸出専門店」も含む相見積もりが不可欠です。ディーラー下取りという「無難な選択」をする前に、まずは今の資産価値を正確に把握することから始めてください。