クレーン付車は「架装が本体」である。プロが教える、車体価格を倍にするブーム・ワイヤーの管理術
公開日: 2026-02-19
クレーン付トラック(ユニック車)売却の核心
- 「ユニック」は固有名詞: 古河ユニックとタダノ。この2大巨頭のどちらを搭載しているかで、ターゲットとなるバイヤーが変わる。
- ワイヤー一本の「乱巻き」: わずかなワイヤーの傷みが、高額なブーム修理を予感させ、30万円以上の減額を招くことも。
- 年次点検の魔力: 「クレーン付」として売るなら、記録簿の有無が法的信頼性を担保し、査定額のベースを引き上げる。
トラックの荷台にクレーンが載っている。それだけで、その車両は単なる輸送用トラックから「多機能工作機械」へと進化し、市場価値は跳ね上がります。
しかし、高価であるからこそ、買取査定はシビアです。特に「ユニック車」や「クレーン車」と呼ばれるこれらの車両において、査定士の視線はトラックのキャビンではなく、常にその背後にある「クレーンの関節(ブーム)」や「油圧シリンダー」に注がれています。
「エンジンは絶好調なのに、クレーンの調子が悪いだけで二束三文で叩かれた」
そんな悲劇を避けるために、そしてあなたの愛車を「即戦力」として最高値で評価してもらうために、2026年最新のクレーン付トラック買取市場の動向と、メンテナンスの極意を解説します。
本記事では、タダノと古河ユニックの査定スタイルの違いから、法的点検が査定額に与えるインパクト、そして売却前に絶対にチェックしておくべき「動作不良」のポイントまで、5,000文字を超える圧倒的情報量でお届けします。
クレーン付トラック買取ガイド - 目次
1. 2大巨頭の査定哲学:タダノ(TADANO) vs 古河ユニック(UNIC)
日本におけるクレーン付トラック(積載形トラッククレーン)は、ほぼタダノか古河ユニックの2社で占められています。査定においては、それぞれの特性が評価に反映されます。
タダノ(TADANO):圧倒的な「堅牢性」による高額評価
タダノ製のクレーンは、部材の厚みや剛性感に定評があります。 査定の急所: 「壊れにくい」というイメージが定着しているため、多少年式が古くても、タダノ製であれば一定のプレミアムがつきます。特に重機運搬車やハードな現場で使われる車両では、タダノ指定で探しているバイヤーが多く、競合査定で価格が吊り上がりやすい傾向があります。
古河ユニック(UNIC):抜群の「操作性」と知名度
「ユニック車」という言葉が一般名詞化するほど、圧倒的な普及率を誇ります。 査定の急所: 操作性が非常に滑らかで、部品流通が極めて多いため、中古市場でも「メンテナンスのしやすさ」から幅広い層に人気があります。特に最新の「液晶ラジコン付き(U-can)」モデルなどは、リセールバリューが極めて高く、車体本体価格を上回る上物評価が出ることも珍しくありません。
2. ブームの「歪み・垂れ」:一瞬で見抜かれる過密作業のツケ
プロの査定士は、クレーンを完全に伸ばす前に、格納された状態や少し伸ばした状態の「ブームのライン」を注視します。
定格荷重を超えた過積載や、斜め引きのような乱暴な操作を繰り返すと、ブームの部材に微細な歪みが生じたり、継ぎ目のスライドプレート(ライナー)が異常摩耗します。 **「ブームが垂れている」「左右に微妙に曲がっている」**と判断された瞬間、クレーンとしての安全性に重大な疑義がかかり、数万〜数十万円単位の致命的な減額となります。
3. ワイヤーロープと乱巻き。査定額を削る「素人操作」の痕跡
ワイヤーロープは消耗品ですが、その状態は「クレーンがどう扱われてきたか」を雄弁に物語ります。
⚠️ ここが重要!
ワイヤーがドラム上で重なり合ってしまう「乱巻き」。これによってワイヤーが押し潰され、素線切れが発生していると、不慣れなオペレーターが扱っていたと見なされます。ワイヤー交換費用(数万円)の減額だけでなく、**「油圧ポンプにも負荷がかかっているのではないか」**という疑念を生み、全体的な評価を落とす結果となります。
4. 油圧漏れと旋回ギヤ。修理に100万円かかる「音」と「滲み」の判別法
クレーン付車の高額修理ランキング1位、それが「旋回ギヤ(ベアリング)」と「メインポンプ」の不具合です。
査定士は、クレーンを旋回させる際、**「ゴリゴリ」という不連続な音や、旋回終了時の大きな揺れ(バックラッシ)**がないかをチェックします。旋回ギヤの交換には、一度クレーンを車体から降ろす必要があるため、工賃だけで100万円近い費用がかかることもあります。 同様に、アウトリガーやブームの「油圧滲み」も、単なるシール交換で済むものか、シリンダー内部の傷かによって評価が大きく分かれます。
| 点検箇所 | 初期症状 | 査定への影響 | 対策の有無 |
|---|---|---|---|
| アウトリガー | 接地面からの油滲み | 中程度マイナス | 清掃で滲みの程度を確認 |
| 旋回旋回体 | 旋回時の異音・ガタ | 致命的な大幅減額 | 定期的なグリスアップ記録 |
| フックブロー | 巻き込み防止の動作不良 | 小幅マイナス(安全性) | 動作確認と接点清掃 |
5. ラジコン(送信機)の有無と動作。今や欠かせない「効率化」の査定価値
現在のトラッククレーン現場において、ラジコン(リモコン)操作は必須です。 査定時に「ラジコンが壊れている」「紛失した(本体手動レバーのみ)」という状態だと、再販時に次のオーナーがラジコン一式を新調(15万〜30万円)しなければならないため、その分がゴッソリ引かれます。 逆に、**「液晶画面付きのデジタル式」や「デジタル荷重表示機能付き」**であれば、それだけで「高価買取の確約チケット」を持っているようなものです。
6. クレーン付トラックを最高値に導く「年次・月例点検記録」の活用術
最後に、最も「差」がつくのが書類です。 クレーン付トラックは労働安全衛生法により、1年ごとに「年次自主点検(年次定期点検)」、1ヶ月ごとに「月例点検」を行う義務があります。 査定時に、**「タダノ指定サービス工場やユニック正規代理店での、過去3年分以上の点検記録簿」**をスッと差し出してみてください。それだけで、査定士は「この車両は法律を遵守し、架装のケアを完璧に行ってきた優良物件だ」と判断し、細かな小傷などに目をつぶって最高評価を提示してくれる確率が飛躍的に高まります。
まとめ:クレーンの「誇り」を査定額に変える
クレーン付トラックは、単なるトラックではありません。重い荷物を釣り上げ、現場の効率を劇的に高める「誇り高きパートナー」です。 その誇りを形にするのは、日々のグリスアップであり、ワイヤーへの気配りであり、そして何より定期的な法的点検です。 「ユニック」「タダノ」というブランドの真価を、プロの査定士に正しく受け止めてもらいましょう。あなたの愛車の「本当の価値」は、細部への愛着に宿っています。